誤解が生じやすいため注意!
中古住宅の売買契約でよく見られる文言に現状有姿取引という言葉があります。
現状有姿とは現在の状態でという意味があり、現状のままで取引しますと解釈されます。
契約した時点では気付かなかったのに、数ヶ月後に欠陥が見つかったため何らかの補償を求めたいと考えても、現状有姿という文言が契約書にあったため諦めなければいけないと考える方も多いです。
しかし厳密に言えば現状有姿の文言があっても、瑕疵担保責任が免責されるとは言えません。
これらの違いをしっかり把握していなければいけません。
現状有姿と瑕疵担保責任の違い
現状有姿とはあくまでも売買契約が締結してから引き渡しが完了するまでに建物に何らかの変化があったとしても責任は負わないことを示しています。
例えば契約時にはリビングの電球が問題なく付いていたのに、引き渡しをする際には電球が切れてしまった場合でも売り主が電球を交換してあげる義務はないことを示しています。
この程度であればさほど問題視されないかもしれませんが、もっと高額な費用が発生すると思われる欠陥についてはそう簡単に引き下がるわけにはいきません。
ここで問題になるのは、売買契約が成立する前から存在していた瑕疵=欠陥については、瑕疵担保責任が生じて売り主が責任を負うべきということです。
例えば以前から雨漏りがしていることを把握していたのにも関わらず、買い主に何も説明をしないまま黙っていれば良いと考えて売買契約を済ませてしまったというケースは、瑕疵担保責任が生じると考えられます。
瑕疵担保責任が発生すると考えられる状況であれば、現状有姿との文言だけでは責任から逃れるわけにはいきません。
曖昧な表現は避ける
売買契約の際に交わす契約書に記載する内容は曖昧な表現では後にトラブルに発展する可能性が高くなります。
売り主側は特に現状有姿という曖昧な表現だけで責任を逃れようとするのは避けてください。
この場合は瑕疵担保責任が免責されるというはっきりした文言を記載しておくと、買い主もこの条件を把握して契約したことがはっきりわかるので責任を追求されても逃れることができます。
もっとわかりやすい表現としては、契約が無事に締結して対象物に何らかの変動が起こったとしても、売り主が現状のままで引き渡しを行うことをしっかり明記しておくことが大切です。
現状有姿と瑕疵担保の関係をよく把握できていない方は混乱しやすいことがトラブルを招く原因になると考えられます。
曖昧ではない表現で契約を交わすことで余計なトラブルを避けることができます。
売り主や買い主、仲介業者の全てがこれらの違いをしっかり把握しておくことが混乱を防ぐことに繋がります。